Wカラーリング(2回染)のプロセスと希望色について

皆様おはようございます。
ヘアデザイナーの空(くう)です。
今日はカラーリングについての記事を書こうと思います。
昨日『午後の紅茶』『ミルクティ色』のような色を希望する若いお客様が来店されました。
当店は決して白髪染め専門店ではありませんので、ハイトーンのカラーリングも喜んで受けさせて頂いております。
もちろんダメージはある程度覚悟してもらう必要がありますし、ヘアケアで色もちを良くして日々のダメージケアを続けていくことをおすすめしています。
ハイブリーチ毛のカラーの色持ちをすこぶる良くするシャンプー&トリートメントはこちら。
今回のように「ミルクティ色」などのハイブリーチを好まれる場合は、予め一度金髪にしてからじゃないと希望色にはならないとお話しして、リスクをご理解頂き施術に入りますが、金髪という言葉にもそれぞれが様々なイメージを持つと思うので、一度ブログで説明しておこうと思いました。
まずは下記画像をご覧ください。

上段から彩度の低い明度が20段階で白髪から完全な黒い髪まで表しています。
上段の彩度の低い日本人はほとんどいませんので、ブリーチしてこのような色素になる方は欧米人がほとんどです。
真ん中の彩度が普通が一般的な髪の太さの日本人をブリーチした髪と考えてください。
但し、ブリーチで完全な白にはなりませんので最終段階は14~18レベルの段階の明るさと考えてください。
もっとも明るいブリーチ色をペールイエローと言います。
どれだけ脱色しても最後まで薄い黄色のメラニン色素は残ります。
それから1~4の黒髪は日本人には少ないのでほとんどの方は何もしていない黒髪で5~7レベルが日本人の平均的な髪の明るさです。
下段にある彩度の高い方とはどのような人かと言うと、髪が太くて黒い方に多く見られます。
黒い髪ほど赤褐色系の色が多く含まれていますので、明るい煉瓦色みたいになりやすいと思います。
天然のメラニン色素はメラノサイトで生成されます。
生まれたての赤ちゃんのような髪は最初は透明のチューブのようなものです。
白髪というのは実は白い色ではなくて、メラニン色素が生成されなくなった透明の髪が白髪の正体です。
メラノサイトが何らかの理由でメラニン色素を生成しなくなっために起きている現象が白髪です。
白く見えるのは光が反射して白く見えていることになりますね。
一般的な明度の黒髪を「ミルクティ」にする場合に必要なプロセスが、ハイブリーチになります。
ブリーチとハイブリーチをあえて使い分けています。
その理由は、暗い白髪染めでも、明るいおしゃれ染でも(オキシドール=OXY)を使用しているので、濃度の差はあるけれどアルカリ剤を使う場合は、多少なりともブリーチしていることになります。
ブリーチ=アルカリ剤+OXY6%(1:1)
ハイブリーチ=脱染剤+OXY6%(1:2)
例えば明るい白髪染めをされる方がいますが、レベルで言うと7程度の仕上がりを希望したとします。
ご本人は一般的な日本人の5レベルの髪と想定します。

上記のお客様は根本の新生毛は5レベル程度で細めの髪質です。
既染部は以前施術したハイライトは10レベル程度で他の既染部は8レベルくらいでした。

どこのカラー材料でもほとんど同じような基準で、7レベルのブラウンの1剤とオキシドール6%(過酸化水素水)を1:1程度で足して混ぜ合わせたものが白髪染めの明るめです。
7レベルで白髪に色が入らない方もいれば、8レベルでも白髪に色が入る方もいますので、一概に言えないところはありますが。
一般的には6〜7レベルのブラウン系が白髪染めの主流のような感じもあります。
ではおしゃれ染はどうなのか?
例えば白髪のない方で銀行に勤めているようなお堅い職業の方が少しだけおしゃれ染めしたいと思ったとします。
本人の元々のレベルは5だとします。
銀行では大抵7レベル以下のカラーで規制している様ですので7レベルのおしゃれ染と想定しました。
カラー1剤は白髪染めと同じく7レベルとオキシドール6%です。
もう気がつきましたか?
そうなんです白髪染めとおしゃれ染の違いは色味の問題だけなんです。
どちらもアルカリ剤とオキシドール6%を使いますので同じです。
違うのは白髪に染まるブラウン系など暖色系の色素が入っていれば白髪に染まりますし、アッシュ系やマット系など寒色系の色素は白髪に入っても白髪をカバーできないので、染まっていないとクレームになることがありますので主におしゃれ染に使用します。
こういう考えでどこのカラー剤メーカーも販売しています。
これがざっくりと説明するならば一般的なカラー剤の仕組みです。
このように白髪染めもおしゃれ染もほとんど違いはありませんが、9レベル以上の明るさになると話が違ってきます。
レベルが高いほどアルカリ濃度も高くなり、色素が少なくなりますので白髪には入らなくなります。
構造的には同じ薬剤を1剤と2剤で混ぜ合わせるのですが、1剤の中に含まれる色素の量とアルカリ濃度が変わってきます。
高いレベルを求めるほど、色素が減ってアルカリは増えてきます。
今回の様に明るさだけを第一段階で求める場合は、色素の入っていない高濃度のアルカリとOXYとの組み合わせとなります。
「ミルクティー」の場合は、さらに高濃度のアルカリ剤を使用し、通常のカラーの場合はオキシドールが6%で1:1ですが、脱染剤を使用する場合は1:2でオキシドール6%を2倍にしますので、それだけ脱染力が強くなります。
高濃度のアルカリ剤とオキシドール6%2倍でブリーチすると髪質にもよりますが、細い髪だと1回目の塗布で金髪になります。(金髪の定義によって違ってくるが)

高濃度のアルカリ剤=脱染剤をオキシ(1:2)で混ぜて塗布し、酸素に触れると脱色力が弱まるのでラップします。
加温すると頭頂部のみが明るくなり、襟足が暗いままなんてことがあり得ますので常温で放置します。
当店では基本的にはカラーもパーマも常温の方がムラになりにくいので、多少時間がかかっても常温で施術しています。
今回のお客様は髪が細い方でしたので1回目の塗布だけで黄色味のある金髪になりました。
レベルでは14レベルくらいまで上がりました。

乾かすともっと明るくなりますが、この状態は高濃度のアルカリ剤でキューティクルが開いているため明るく見えますが、シャンプー台で流すとキューティクルが閉まり少し暗く感じるようになります。
ここで高濃度のアルカリ剤を地肌につけるとヒリヒリと痛みを感じる方が多数います。(私たち夫婦も痛みを感じるタイプ)
ですから画像でわかるように地肌には高濃度のアルカリをベタベタと塗布していません。(もちろん希望があればリスクを承諾頂いて、地肌までハイブリーチします)
ギリギリから酸性カラーを塗るような方法で塗布しています。
ミルクティ色にするには、脱染剤とオキシドールを混ぜて再塗布して明度をもう少し上げることもありますが、今回は少しくすみを残して見ることにしました。
しかしくすみのない透明感のある「ミルクティー色」となると、もう一度レベルを上げて17レベルくらいまで上げた方が良いのですが、ダメージは繰り返すほど大きくなります。
料金も高くなるので時間や予算と相談しながらある程度のくすみを受け入れた方が良いと思います。

かなり明るい金髪になりました。


髪質にもよりますが、細くて髪を暗く染めたりしていない場合はここまでレベルを上げるのは比較的短時間で、料金も安く済みます。
一度髪を暗くするカラーをされている場合は、人工色素のジアミンが脱染剤で完全にブリーチできないので、色味が残る場合もあります。
ヘナの色素も抜けにくいので色味が残ります。
次にいよいよミルクティ色を狙うわけですが、この段階でお客様の初めての明るい髪色に対して少し戸惑う様子が伺えましたので、仕上がりの明度を少し落とすことにしました。
この場合はベージュ系のトーンを下げていくことを意味しています。
透明感のあるミルクティー色ならもう一度、脱染剤を使用して再塗布していたと思いますが、今回は初めてのハイブリーチなので控えめにしたいと思いました。
ミルクティと言えば、紅茶にミルクを入れた色なので紅茶の色を思い浮かべてみますと、明るくて透明感のあるカッパー系です。

これに牛乳などを入れるとくすんでまろやかなミルクティになります。
しかし、明るいことに戸惑っていたお客様の表情を見て、一旦ブラウン系を混ぜて明度を下げたいと思ったので、予想では一週間後くらいにくすみが徐々に取れてきて、慣れてきた頃に今回の仕上がりよりも明度の高い状態になってくるという判断で8レベルまでベージュを下げてオンカラー(2度染)しました。

レベル8のベージュ系でかなりトーンダウンすると思われましたが、明るすぎる仕上がりよりはお客様が安心するのではないかと思い、今回は透明感を出さないことにしました。
折角13レベルまで上げておいて、8レベルのベージュを選ぶのは少し迷いましたが、どの程度の透明感をお客様が求めているかを予想してくすみ加減や、仕上がりの明度を選ぶことが大事だと考えました。
そして仕上がりはこのようになりました。



尚、カラーの発色は室内灯や環境光などによって違って見えますので、必ずしも誰もがこのような色になるとは限りませんのでご了承ください。
それでは今日はこの辺で。
最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございました。
