劇的に髪のイメージを素敵に変える秘訣は四段階のカットプロセスにあった!?

皆様おはようございます。
今日は劇的に髪型のイメージを変えるためのプロセスについて書いてみようと思います。
イメージを大きく変える時に、成功する秘訣はカットのプロセスにあります。
徐々にデザインを作り上げていくことがとても重要で、切りすぎても失敗ですし、切らなすぎても失敗です。
切りすぎのパターンは、最初にイメージ通りに切り込んだことに原因があります。
最初に濡らした状態でブラントカットなどでイメージ通りに切ると、乾いた髪が収斂して縮むため、思いのほか短くなります。
濡れた状態で切った長さはイメージ通りでも、乾いた髪は80%程度収縮するために当初のイメージよりも短くなります。
他にもイメージ通りカットしたけれど、質感を調整するために毛量調整などで重さを削る段階で、当初のイメージよりも短くなるパターンです。
特に後頭部のシルエットが絶壁になるパターンは濡れた髪で切りすぎているため、乾くと絶壁になる場合も多いです。
そして切らな過ぎで失敗する場合ですが、お客様が物足りなさを感じて、失客したりクレームになる場合です。
僕も数多くの失敗を繰り返しながらこうした結論を導き出しました。
まだまだ未熟なことが多いのですが、現時点ではこういう風に考えています。
ところでイメージチェンジについてですが、多くの長い髪を切る覚悟のあるお客様は、劇的にイメージを変えたいという願望があります。
髪をバッサリと切るという意味だけではなく、パーマやカラーも含めたイメージチェンジを意味しています。

特に今回のように何年もイメージを変えていない場合は、中途半端なカットではあまり印象が変わりません。
例えば、いつも束ねているお客様がいつの間にか超ロングに髪が伸びていて、そろそろバッサリとイメージを変えたいと思って来店した場合。
髪を束ねてしまうと、真正面から見たら、ミディアムもロングも超ロングもさほど変わらないから、身近な人からは髪を切ったことがわかりにくいのではないかと言えます。
また他店でいつも代わり映えしなくて、お店を変えて新規で来店された場合なども劇的に何かを変えたいという願望があるかも知れません。
他にもいつも束ねていることに飽きたり、頭頂部が薄くなってきたように感じたりする場合もあります。
こうしたパターンの時に、美容師が毛先を揃える程度とか、ミディアムなど中途半端な長さで髪を束ねられるカットをしたとすると、結局明日からも髪を束ねてしまうので、お客様の周りにいる方から見たらほとんど変化を感じませんし、気が付かれないまま時が過ぎてしまいます。
かといって髪を束ねることを好んでいる場合もありますので、ケースバイケースでそこは配慮が必要です・・・
コンサバティブな方だとサロンを変えることが必ずしも劇的にイメージを変えたいとは限りませんので、あくまでもお客様の言葉や表情からその真意を見抜くことが大事です。
皆さんはこういう経験はありませんか?
「髪を切っても誰も気が付かないんです・・・」
「いつも誰にも何も言われないんです・・・」
「今日は気分を変えたくてきました・・・」
なんて思うことありませんか?
そこで今までのそうしたお客様の経験や気持ちを汲み取りながらデザインの提案をすることが大事です。
変化を表現する以上は劇的に変えなければならない場合もあります。
つまり美容師は髪を切っているわけではなくて、「心を切っている」と思うのです。
「心を切る」とはどういうことか?
それはヘアスタイルよりも大事なことはお客様の心境の変化ということです。
そうした目に見えない気持ちを目に見えるデザインとして表現する、提案することが大事です。
見えないものを見える形にすることはヘアデザインをする上で最も重要なことであると思います。
今回のモデルさんは30代前半の方ですので、心境的にはあまり子供っぽくは見られたくないと思っているかも知れません。
そこで今回は大人のエレガントなショートスタイルを提案してみました。
来店の時の髪型はこんな感じです。

ロングヘアですが意外と子供っぽく見えますよね?
あなたならどんな髪型が似合うと思うでしょうか?
ご本人の許可を経て顔出しOKで撮影に協力して頂いています。


この時の超ロングヘア→ベリーショートヘアにカットだけでイメージチェンジした写真がこれです。

カットだけではまだ大人のエレガントなショートヘアには見えませんよね?
そこでカットが一段落したので最初の計画通り次にパーマをかけることにしました。
イメージは最初のインスピレーション通りで「大人のエレガントなショートスタイル」です。
パーマの前にカットについてもう少し詳しくお話ししてみます。
僕はこうしたイメージを大幅に変える時には、荒切りと呼んでいますが、ざっくりとした長さやシルエットをシャンプーする前に切るようにしています。
それが最初の一段階目のカット。
次に二段階目のカットは、ある程度切った段階で一度シャンプーしてから行います。
なので荒切りは二段階に分けて切ることになります。
どうして何回かに分けてカットするのか?
例えば、木彫りのクマさんを想像してみてください。

イメージしたものは最終的にはこのような仕上がりになるけれども、それまでには森の木をチェンソーで切り倒して、それをある程度の大きさに荒切りして丸太にしたり、丸太をざっくりと切り込んである程度仕上がりのシルエットに近い状態までカットしますね?
いきなりこのような仕上がりになるわけではないので、その段階を踏んで徐々に仕上がりのイメージに近づけることが大事です。


繰り返しますが、まずは切り出した丸太をある程度の形まで荒切りしてクマのシルエットを作ります。
それから細部を掘り込んでいきます。
このプロセスを髪型に当てはめて考えていくと、来店時に超ロングをミディアムくらいまで切っていきます。


荒切りは来店時の乾いた髪をドライで切って、次にシャンプーしてウエットで荒切りします。
ウエットでパネル展開して切る方法をブラントカットと呼んでいます。

最初の荒切りはシャンプーで根本の寝癖などをしっかりと取るためでもあり、時間短縮で仕上がりまでのお客様の時間を効率的に使う目的と、美容室側もシャンプー剤やドライの際に材料費の削減や時間短縮など様々なメリットがあります。
シャンプー終了後に二段階目の荒切りです。
この場合も濡らした状態で最終目標のシルエットに近づけるためのブラントカットをして行きます。
この時にあまりトップやアウトラインを切りすぎると最後のドライカットの時に短くなりすぎるので要注意です。
あくまでも荒切りを二段階に分けていると考えて、ディテールを作るときに余裕を持って120%程度の長さを残しておくのがポイントです。
トップに関してはさらに長めに残して置き、150%程度の長めのイメージで荒切りをします。
トップは後頭部のシルエットなどを作り上げていく際にとても重要な箇所ですので、慎重に慎重を重ねて、長めのボリュームを残して置きます。

ここまでで、1回目の荒切り→シャンプー→2回目の荒切り→3回目のドライカットというプロセスでフォルム作りをしてきましたが、次の段階ではパーマで質感を加えます。
カットは彫刻のように削る作業なので、引き算です。
素材を間引きながら残す髪を意識してフォルム=シルエットを作ります。
フォルムは正面からサイドシルエット、バックやバックサイドなど多角的に観察しながら切り込んでいきます。
ドライカットは通常の髪型が乾いた状態であることから、仕上がりに最も近い質感の状態でディテールをカットします。
細部にわたって髪を切る作業なので、段々と繊細な作業になります。
日本人の髪は10万本程度の量がありますが、数十本単位で、あるいは一本一本を意識しながらのカット作業を繰り返します。

段々と仕上がりが見えてきましたが、ここでも注意することはパーマで髪が収縮することです。
カットの段階でも濡れた髪から乾いた髪になるのに髪の長さが変化すると書きましたが、パーマも髪を曲げてしまうので髪が短くなります。
収縮が80%程度とも書きましたが、シャンプー時に長さが100センチの人が乾くと80センチになるってすごい変化ですよね?
あくまでも平均的な話なので癖毛の人だともっと短くなりますし、完全なストレートの人だともう少し長くなります。
いずれにしても濡れた髪と乾いた髪の長さの変化、パーマをかける前とかけた後の髪の長さの変化には十分な注意が必要です。
こうした最終仕上がりに至までのざっくりとした計算が必要で、電卓で叩くような感覚ではなく、長めにシルエットを削る彫刻的な感覚が必要だと思います。
荒切りを2回、仕上げのカットを2回合計4回のカットをする理由もここにあります。
3回目でほぼ完成に近いわけですが、今回のようにパーマをかけるとなると、どうしてもかけた後に調整が必要です。
なので110%など少しだけ長さを残しながら三段階目のドライカットをしておきます。



健康毛の髪はキューティクルが薬剤の浸透を防いでいるため、パーマ液を塗布する際には髪のキューティクルを柔らかくする必要があります。
霧吹きなどで髪を濡らしてキューティクルが開きやすい状態にしていきます。
濡らし終えたらケラチンタンパクやコラーゲンPPTを塗布してダメージを最小限に抑えていきます。
ダメージケアを経てパーマ液を保湿剤と一緒に塗布します。
ヒアルロン酸など乾燥を防ぐ成分とパーマ液を混ぜて塗布します。
パーマは回転数と仕上がりの関係性を考慮しながらかけていきますが、薬剤のウエーブ効率が悪い商材では計算が成り立ちません。
昨今ではお客様の髪のダメージが進行しているため、髪に優しいパーマ液が市場を席巻しています。
ということはパーマ液以外の成分が多く含まれており、ウエーブ効率が悪くなっていますので、パーマを巻く回転数=仕上がりイメージという方程式が成り立たなくなっております。
結果的に必要以上にロットを小さくするか、大きいままのロットではすぐにパーマが取れてしまうか?
仕上がりのウエーブ計算が難しくなっています。
当店では純粋なチオグリコール酸濃度の高いものを使用し、キューティクルを開かせるためのアルカリ材は残留性のないアンモニアを使用しています。
匂いがキツくなりますが、残留するモノエタノールアミンと比べると後々のダメージ度合いがかなり違ってきます。
パーマによってお客様の髪が傷むというのは、この残留性の高いモノエタノールアミンやサルファイトなどが大きな要因であると言っても過言ではありません。
アンモニア臭は揮発成分なので作業終了後にはほとんど消えていますし、お客様が自宅で一度シャンプーすればほとんど気にならなくなります。
残留アルカリを除去する後処理ではなく、そもそも残留性の低い薬剤を選んでいます。
一方モノエタノールアミンは不揮発性のアルカリ剤で髪内部に残留するため、パーマ後のアフターシャンプーでも除去しきれませんから、残留しアルカリ成分はキューティクルを開かせてシャンプー時に髪内部のタンパク質を多く流出させてしまいます。
平均的には一回のパーマで0.3%のタンパク質が髪内部から流出します。
髪内部の天然成分であるタンパク質は保湿やパーマの形状やカラーの色持ちと密接に関係しています。
そうした髪にとって重要な成分の流出量がシャンプー毎に増えるということは、時間経過と共にダメージの度合いに大きな差が出てきます。
次の図は健康な髪のキューティクルと、カラーを繰り返してキューティクルの隙間が広くなった比較画像です。


パーマやカラーのアルカリ剤によって開き過ぎたキューティクルの隙間。
このように、引き締まった1000分の5ミリという薄いキューティクルは、繰り返し使用する美容室のアルカリ剤によって弛んでいきます。
魚の鱗のような成分で形成されたキューティクルは1箇所が4枚から8枚ほど重なり合っており、隙間からタンパク質が簡単には流れないような構造になっています。
しかし、高濃度のアルカリ剤や残留性の高いアルカリ剤によって弛んだキューティクルの隙間から毎回のシャンプーで髪内部のタンパク成分が流出していきます。
流出した髪内部のタンパク成分を補うためのシャンプー&トリートメントはこちら。

1回のカラーリングで0.6%のタンパク質が美容室で流出します。
お客様がご自宅でシャンプーする度に0.03%程度のタンパク質がお風呂場から流れていっています。
大事な保湿成分であるタンパク質はお風呂場の排水溝に毎回のシャンプーで流れ出していくわけです。
このように髪のダメージの初期原因は美容室で起きていますが、それを拡大させているのはお客様ご自身のご自宅でのシャンプーによるものです。
ですから美容室でもダメージレスに向けた薬剤選びや前処理・後処理が大事で、お客様自身もシリコンやジメチコンなど皮膜系化合物を使わない商品を選び、ラウレス硫酸ナトリウムなど髪や皮膚を溶解させる原因となる硫酸系化合物を避けて商品を選ばなくてはなりません。
特に石油から作られた高級アルコール系のシャンプーなどは脱脂力が強く、乾燥した頭皮や髪質を作ります。
デザインの話から逸れたように思われるかもしれませんが、実は髪という素材の美意識と形というデザインの美意識は本来一つのものでもあるのです。
良い素材で良いデザインを作ることがとても重要な考え方であると考えています。

では話をデザインに戻しますね。

パーマというと全体にかけるイメージがありますが、僕は必要な箇所に必要なだけかける方がデザイン的に良いのではないかと考えています。
この写真のようにトップには高さが必要なのでモヒカン状にロットを巻いていますが、両サイドは1本置きに巻かないストレートな箇所を残して、交互に巻いたり巻かなかったりしています。
巻いていない箇所はハチが出ている箇所でボリュームが出ないように巻いていません。
もみあげも同様に膨らまないように巻いていません。
このように、必要なところに必要なだけパーマをかけることがデザイン効率を高めると考えています。
気になる料金設定ですが、当店では1本かけることのと100本かけるのとが料金設定が同じになっています。
それなら100本の方が得だと考える方もいるかも知れませんね。
しかしパーマはデザインなので1本も100本も一つのデザインに変わりありませんし、本数が多いから得だとは限りません。
なぜなら最終的にデザインが似合っている方がお得だと思いませんか?
むしろ100本パーマをかけることで不要な箇所にもボリューム出てしまったり、100本かけるためにロットを小さくすることチリチリにかかってしまうことになります。
今回のモデルさんは11本巻いていますが、必要な箇所だけに必要な回転数のパーマをかけたのでこうなりました。
これを小さなロットで100本巻いたらお得だと思いますか?
パンチマーマみたいになって喜ぶ方がどれだけいるでしょうか?
パーマをかけることで周りに方からマイナスの印象になったり、老けた感じになってしまったら意味がありません。
今回のように大人のエレガントなパーマデザインとかかりすぎたようなパンチパーマのデザインは顧客満足という視点で見れば別物と言えるでしょう。
その行為には価値があるかないか?それが大事です。

ところで、印象を変えると言えば、眉は大事です。
眉毛の印象ってほんと重要ですよね?
僕も自分の眉をカットしたり、薄いところを書いたりしているので眉は男性にとっても女性にとっても同じように大切な身だしなみだと思っています。
半年間のダイエットに成功して、84キロが今では64キロまで減量できました。
この動画を収録した頃にダイエットを始めて、20キロ落ちましたが、リバウンドなく今でも65キロ前後で維持できています。
今はサイズダウンしたんで洋服などもほとんど買い直ししています。
嬉しいことです^^
では最後の仕上げでカラーをしていますのでカラーの話をしましょう。
厳密にはカラーではなくて化粧品登録の天然100%のインディゴです。

このモデルさんは来店時には髪色が少し明るい茶色でしたが、背も高くない方でしたので、ベリーショートで黒っぽい印象をアドバイスしました。
ミニマムデザインの提案です。
今回はほぼおまかせでしたので背丈から顔の雰囲気まで考慮して髪色も天然100%の藍染をしました。
当店では天然のヘナやインディゴを取り扱っているので、ダメージレスを希望される場合は、こうした天然100%の素材を提案しています。
但し髪が明るい印象にはならないので、髪を明るくしたい場合は通常のアルカリ材を使用しています。
今回は明るさに対しても要望が無かったのでコンパクトな印象を出すためにインディゴで黒っぽく染めることにしました。


そしていよいよ最後の4回目になるカットをします。
パーマとカラーを終えた後なので、最初のシャンプー、パーマ後のシャンプー、カラー後のシャンプーで合計3回シャンプーした後のドライカットですから、かなり再現性が高くなっています。
再現性とは美容室でのスタイリングと、お客様がご自宅でスタイリングした時の差が少ないことを言います。
少ない場合は再現性が高いヘアスタイルと言えます。
逆にサロンを出るときのヘアスタイルと、自宅に帰ってから自分でシャンプー&ドライした時に出来上がるヘアスタイルとのギャップが大きい場合は、再現性の低いヘアスタイルと言えます。
僕は基本的にシャンプー後にはお客様を手ぐしで乾かして仕上げますので、これも再現性を高める方法の一つです。
お客様が上手にブラシでブローする方の場合は、同じように僕もブラシでブローしますが、多くの方はブラシを使用したブローが苦手のようです。
なのでお客様と同じ目線で、同じ方法でスタイリングすることで再現性をより高めていきたいと思っています。
スタイリングのアドバイスもお客様が普段している道具や方法を聞いた上で行うことで再現性を高めるように努力しています。

メイクアップも大切なイメージ作りのアイテムですね。
僕もメイクを仕事にしていた時期もありましたので、メイクアップでモデルさんやタレントさんが変身する姿を数多く見てきました。
ガラッと変わりますよね!?メイクで。
そしていよいよカット&パーマ&カラーが完成しました。

まとめ
四段階の分けてのヘアカット。
ウエットカットが2回とドライカットが2回の合計4回です。
そして必要な箇所に必要なだけの部分パーマ。
眉カット。
天然100%の素材を使った藍染(インディゴブルー)
メイクアップ。
料金はトータルで16500円税込。
所要時間は3時間半くらいです。
※撮影やメイクアップは料金に含まれません。



いかがでしたか?
長々と久しぶりの髪型のうんちくを書いてみました。
一般のお客様にも美容師さんにもためになる記事が書けていたら幸いです。
この記事がいつか誰かのお役に立てればいいなと思いながら書いてみました。
緊急事態宣言も完全に解除されたようですので、これからレクレーションやイベントや旅行など活発になりそうですね!
あたなもぜひ当店でイメージを劇的に変えてみませんか?
いつものあなたでは無い、新しい自分がそこにいるかも知れません!
では最後まで読んでいただきましてまことにありがとうございました。



お問い合わせはこちら