ヘアデザインにくびれを作りメリハリのあるスタイルにするのが『はしびと流』

皆様おはようございます。
今日はヘアデザインのスタイルコンセプトについてのお話をしてみようと思います。
私はなるべく全てのお客様のヘアスタイルをアフターだけでも撮影してインターネットに公開したいと考えています。
ほとんどのお客様は「顔を出さないで!」という条件ですので、後ろ姿が多くなってしまいますが、まれに顔出しOKの許可が出る場合もあります。
しかし実際には忙しいタイミングでは撮影ができなくてお帰りになってしまう場合も多々あります。
どうして仕上がりを撮影するのか?
それは新規で来店される方々の不安の第一要因であると思われる『このサロンに行くとどんなヘアスタイルになるのかしら?不安だわ・・・』
なんて思われる方も多いのではないかと想定して、仕上がりのヘアスタイルを画像に残して googleマイビジネスやブログにアップしてホームページなどで公開しています。
もう一つの理由は、自分の技術の向上のためです。
ヘアデザインは様々な要素で成り立っております。
- ヒアリング力(お客様のニーズや潜在的なシーズを感じとる力)
- カウンセリング力(お客様との対話を通して、ヒアリングして感じたことを再確認する力)
- シュミレーション力(ヘアデザインの方向性をイメージしてお客様とイメージのギャップを埋めていく力)
- イマジネーション力(最終的にこういうことが起こり得ることや、こうした仕上がりになるという具体化する力)
- 提案力(ヘアデザインを意思決定する瞬間でもあり、お客様にそれがしっかりと明確に伝わっているかを確認する力)
- テクニカル力(決定したヘアスタイルを表現する力)
- テクニカルトーク力(世間話を一旦止めて、ヘアデザインのコンセプトやどうしてここをこのようにカットしているかを説明し切る力)
- フィニッシュワーク力(シャンプーについて・コンディショニングについて・タオルドライの方法・ドライヤーの使い方やシャンプー後にドライヤーで乾かすことの重要性・仕上げ方法)
こうした日々のルーチンワークを淡々とこなすことがとても重要です。
こうした複雑なプロセスを経てヘアデザインは完成されていきます。
そしてアフターの写真撮影により、画像に残ったヘアスタイルは自分自身のデザイン力、カウンセリング力、テクニカル力、提案力、フィニッシュワーク力を再点検するために大変重要な材料となります。
つまりヘアスタイルの写真を見ることで後で反省の材料になるということです。
まとめ
お客様を日々に撮影する理由
- 新規のお客様に安心感を与える目的
- 自分自身の未熟さを再確認し技術の向上を目指す目的
前置きが長くなりましたが、本題に入ります。
それぞれのサロンには強みと弱みがあります。
これは個人の美容師にも当てはまり、もっと言うと全ての人々に当てはまると思います。
そこで自分のお店の強みとは何か?
それぞれの美容師の強みとは何か?
そこがフォーカスされるべき部分であり、磨いていくべきところでもあります。
逆に弱みについての修正も重要ですが、あまり重点をおかなくても基本的に自店の強み、個人の強みを磨いてゆけば自然に欠点は小さくなります。
欠点ばかりに重点を置くと、個人レベルでも美容師は自信を失いやすいので注意が必要です。
人は仕事をするために生まれてきていますので、潜在的に人の役に立ちたい、人を幸せにしたいと思っています。
表面的に意識していなくても人間という存在の基本的なアイデンティティーであると思います。
美容師の強みについて。
私の場合は、エレガントなヘアデザインを最も得意としています。
エレガントの定義は人それぞれですが、美しいヘアデザインにはメリハリがありボリュームとタイトなくびれの組み合わせで構成されているヘアスタイルをエレガントなヘアスタイルと定義付けています。
体のボディラインも曲線からなる出っ張りとくびれでエレガントなボディラインが生まれてきますよね?
エレガントというと、長い巻き髪などを想像する方も多いかと思いますが、ベリーショートであってもエレガントなベリーショートはあると考えています。
逆にボーイッシュとかマニッシュなど同じようなベリーショートでも男性のようなスタイリッシュなデザインもあり、女性らしいフォルムもあります。
ではミディアムスタイルでエレガントなくびれデザインを見てみましょう。

最近の例えを出すとすると上図のお客様が象徴的です。
トップには分け目がつかないようにレイヤーが入っています。
このトップの定義も美容師によって様々ですが、私が感じる限り多くの新規のお客様にはトップの髪がありません。
- バング(前髪)
- サイド(横の髪)
- バック(つむじから後ろ側の髪)
- ネープ(襟足の髪)
ざっくりと上記の4ブロックに分かれています。
なので分け目がはっきりとしていて、多くの場合紫外線で炎症を起こしたり、頭皮が日焼けして老化が進み薄毛の原因ともなっています。
私はこのブロックにトップを加えて5ブロックでカットします。
- バング(前髪)
- トップ(頭頂部の髪)
- サイド(横の髪)
- バック(つむじから後ろ側の髪)
- ネープ(襟足の髪)

先ほどと同じモデルさんをハイアングルから撮影したものです。
このモデルさんもトップのブロックが無く、4つのブロックでヘアデザインが構成されていました。
私はそのことを説明し、トップのブロックを作っても良いか確認し、前髪からトップのゾーンをカットで作りました。
トップの根本が立ち上がっているのが見えますか?
こうすることでトップの分け目が見えなくなりました。
トップの髪が立ち上がり、分け目が見えなくなるとどうなるか?
まず印象としての変化と見えない良い変化が起きてきます。
- トップの髪が増えたような印象になり若返る
- 前髪から頭頂部にかけての毛流ができることで顔に奥行きができ立体的になる
- 分け目があることで常に紫外線からの攻撃に同じ場所が晒されているのを防ぐことができる
- 紫外線の酸化力が弱まり頭皮の老化が緩和する
以上のようにカットゾーンを4つで考えるか、5つで考えるかで仕上がりに大きな差が出てきます。
余談ですが、上記のモデルさんは顔まわりだけ縮毛矯正をしてそれ以外はご自身の癖を生かすようなメニューとなりました。
シャンプー→彫刻カット→顔まわりだけ縮毛矯正=9,900円税込
では次の例を見ていきましょう。

こちらのお客様はカラーとカットで来店された方です。
サイドシルエットが下膨れになっていますね?
カットして時間が経つと自然にこのようにボリュームゾーンが下がってきて、下「膨れシルエット」になってきます。
引力の法則や襟足の生え際が他の場所より下にあるので、ある程度仕方のないことではあるのですが、1〜2ヶ月でここまで下がってしまうのはカットに原因があります。
下膨れシルエットで後頭部は絶壁シルエットになっています。
つまりくびれのないヘアデザインがカットのもちを悪くしているとも考えられます。
次にアフターを見てみましょう。

このようにトップの長さをキープしつつも、襟足にくびれが出来ている事でデザインにメリハリが生まれてきます。
出ている箇所は丸く柔らかいシルエットでデフォルメされ、それを演出するためにくびれがとても効果的となります。
フォルムというのはこうして出っ張りをデフォルメ(強調)する事でエレガントなヘアデザインとなります。
ボリュームをデフォルメする方法としてくびれカットが最も有効的です。
その次にパーマによるボリュームのデフォルメという順番になります。
フォルムとはフランス語で形状を意味し、似たような言葉としてシルエットがあります。
もう少し違った角度で同じモデルさんを見てみましょう。


このように特にサイドシルエットでは後頭部の形など骨格補正にも有効ですし、頭の奥行きを演出する効果が高くなります。
日本人の頭は後頭部が絶壁の方が多く平面的で、西洋人の頭は後頭部が出ており奥行きがある立体的なフォルムをしています。
なので、日本人には後頭部にボリュームを出すためにくびれデザインはとても有効だと言えます。
次にバング(前髪)とトップ(頭頂部)についてビフォー&アフターを見てみます。


全く同じアングルではないのでわかりにくいかもしれませんが、5つ目のエリヤとしてトップをカットしたことで、トップの分け目がなくなりました。
トップの髪が立ち上がりが出やすくなり、分け目を紫外線で攻撃されるリスクも減りました。
印象も若々しくなり、シルエットが縦長になって、トップの毛流がつむじから流れているので奥行きのある立体的な印象になりました。
いかがでしたか?
くびれデザインは様々なメリットがあり、むしろデメリットが少ないように思います。
平面的な日本人のために私が考案した独自のフォルムと独自の彫刻カット(60分4,400円税込)によって造形されたヘアデザインであると言えるでしょう。
最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。
いつか皆様とサロンでお会いすることを楽しみにしています。
