Aラインシルエットとグラデーションカットでダイヤモンドフォルムになれる

皆様おはようございます。
ヘアデザイナーの空(くう)です。
今日はAラインとダイヤモンドフォルムについてお話ししてみようと思います。
先日輪郭をカバーする記事を更新しましたが、小顔効果にするにはバランスの良いシルエットが大事であると言いました。
バランスの良いと言う意味は、顔まわりに適度な厚みがないと、輪郭がもろに強調されるからです。
顔まわりがタイトになりすぎると顔が大きく見えますので、ある程度厚みのある美しいシルエットが効果的であることについて話しました。
シルエット(英語)=フォルム(フランス語)
私は個人的に両方の言葉を使うことが多いのですが、同じ意味ということです。
ではこちらの画像をご覧ください。

このスタイルはワンレングスベースのカットをしてから、少しだけグラデーションをつけています。
グラデーションカットは徐々に段差をつけることですが、一般的にはカラーで使用される場合が多く、色と色が繋がるように徐々に変化する様をグラデーションと呼んでいるようです。
Weblio辞書によるとこう解説されています。
「グラデーション」の意味は 物事の段階的な変化のこと。
と言うことです。
ですからグラデーションカットと言うと、徐々に段差が付いているカットによるヘアスタイルと解釈できますね。
徐々に段差が付くことでフォルムが変化していきます。
対照的なのがレイヤーカットになります。
「レイヤー」はフォトショップなどでも馴染みのある言葉で、「重なり合う」などと解釈されています。
アニメーションなどを制作するときに、背景があって、中間の画像があって、一番手前にアニメのキャラクターが描かれていたりするとレイヤー構造で立体的な表現が可能となります。
ヘアスタイルの場合は、「レイヤーカット」というと「段カット」と注文を受ける場合もありますが、段差が大きく、髪の層が重なり合っているのがよく見える様をレイヤーカットと言います。

上図のような場合はグラデーションカットとは言えず、トップからの襟足までの幅で極端な段差をつけるカットスタイルなので、レイヤーカットと言います。
グラデーションカットは髪の層が狭い幅で重なっているのですが、急激な幅広い層で重なっている場合はレイヤーカットと一般的には呼んでいます。
今回はグラデーションについてのお話となります。
まずはAラインシルエットについて考察します。

トップから裾が広がり、シルエットがAのような形になっています。
このスタイルはワンレングスに少しグラデーションが入っていますが、完全なワンレングスだと角がもっとシャープになります。
完全なワンレングスだと、どういうAラインになるかを今度はフォトショップでCG(コンピューターグラフィック)で描いてみます。

いかがでしょうか?
現実では完全なワンレングスに毛先パーマをかけると表面が短くなり自然なグラデーションがつきますが、ストレートヘアだと上図のような構造になります。
ワンレングスに毛先パーマや毛先を丸アイロンで巻くと不自然ですよね?
同じAラインでもワンレングスにカットしたままで毛先にパーマや、この場合はアイロンでカールをつけましたが、広がり方が不自然ですね。
どうしてそう思うのか?
自然界には本当の直線は存在しませんので、髪は動きのある自然な素材ですから、直線で構成されたフォルムは不自然に感じるのかも知れません。
なので自然な感じに見せるにはある程度角を削ぎ落とす方がエレガントな良い雰囲気になることがあります。
その不自然さをわざと強調するスタイルをモード系などと種分けすることもあります。
ヘアスタイルも直線的なスタイルを好むモード系のヘアスタイルと言えば、有名な服飾デザイナーのコシノジュンコさんが代表的です。

この方の場合は、サイドもワンレングス、バング(前髪)もワンレングスで、襟足はおそらく刈り上げ(レイヤーカットとグラデーションボブの組合わせ)ているようですね。
ワンレングスは直訳すると一つの長さと言い換えることができます。
内側から生えている髪も、表面の一番上の髪も同じ長さでカットしたヘアスタイルを「ワンレングスボブ=一つの長さで切り揃えたヘアスタイル」と言います。

繰り返しますが、逆に内側の襟足の切り口である長さと、表面の一番上からの髪の長さが徐々に違う場合はグラデーションボブになります。

グラデーションカットをすることで、角が削れて丸みのあるヘアスタイルになっていきます。
ダイヤモンドフォルムとも言われており、菱形のヘアスタイルになっていきます。
小顔効果が最も高くなるダイヤモンドシルエットは、あらゆる輪郭に似合う、言わば万能のヘアスタイルと言えるでしょう。
当店のモデルさんは正面の写真はなかなか撮らせていただけないので、正面からの説明ができなくて残念ですが、グラデーションを取り入れることで横顔からもダイヤモンドフォルムがわかります。

上図のように、グラデーションをつけることで、段差が徐々に出来ていき、表面の長さが襟足の長さよりも短くなります。
徐々に短くなることで出現してくるシルエットがダイヤモンドのような菱形になるわけです。
ダイヤモンドフォルムはレイヤーカットで表現することも多いです。


このように、グラデーションでは徐々に段差をつけていくのでフォルムの角が下に来ますが、レイヤーカットでダイヤモンドフォルムを作る場合は、段差が大きくなり幅広い段差で角が上がってきます。

この角が例えば頬骨の高さが気になる方の場合、頬骨の横あたりに膨らみとして、髪の厚みとしてあることで、頬骨が高いことをカバーできるようになります。
いつもこうした記事を書くときに注意点としてお話ししていますが、この形が良いとか悪いという話ではありません。
角があるワンレングスが悪いという話でもなく、レイヤーカットでダイアモンドフォルムを作ることが良いという話でもありません。
私が言いたいことは、造形によるお客様の心理的変化のことであり、造形心理学を通して、お客様の悩みやコンプレックスなどを解消するための一例として提示しているだけなのです。
また記事を読んでいる方が、美容室での注文方法や、美容業界で普通に使用されている言語を知っていただき、オーダーの時に役立てて欲しいという願いで書かれた記事でもあります。
他にもカットを勉強している美容師さんの何らかの参考になれという気持ちで書いています。
あくまでもヘアスタイルの良し悪しを書いているわけではありませんのでご理解いただければ幸いです。
それではいつかサロンでお会いできる日を楽しみにしています。
