旅先で髪を切って生まれ変わる!?Part1

皆様こんにちは。
ヘアデザイナーの空(くう)と申します。
今日のテーマは「生まれ変わり」です^^
私たちの体は約60兆個もの細胞で出来ています。
髪の寿命は平均的に約3年から5年程度と言われています。
平均的に月に1センチほど伸びる髪の毛ですが、2年=24ヶ月で約24センチ伸びます。

仮にあなたの髪の寿命が3年だとすると12センチ×3=36センチ程度までは伸びるということですね。
この3年という寿命が来た髪の毛先は先細りして細くなりやがて根本から抜けてしまい寿命を全うします。

髪は元々体の内部で生きた細胞でしたが、角化されて頭皮内部にある毛根から外へ外へと押し出されたものです。
成長初期→成長期→退行期→休止期・・・を繰り返しながら20歳をピークに段々と毛周期は短くなります。
このヘアサイクルが長いほど髪は元気に伸ばすことができますが、寿命が短くなった髪は1年・・・半年と段々寿命が短くなり、半年だと6センチなのでかなり薄毛になってしまいます。
薄毛になりながらも生まれ変わりを繰り返しながら、やがて3ヶ月・・・1ヶ月となって産毛のようになると髪というよりも産毛のようになってしまい、結果的にハゲてしまったということになります。

このヘアサイクルが乱れると異常脱毛などで薄毛が急激に進んでしまうこともあります。
皮膚の場合は年齢プラス8日間がターンオーバーと言われており、皮膚の生まれ変わりを意味しています。
私は60歳なのでプラス8日で68日周期で皮膚が生まれ変わっていることになります。

20歳の方だと28日周期なので約1ヶ月に1回転くらいのサイクルで表皮が角質=垢として剥がれ落ちて新しい皮膚に入れ替わって行きます。
皮膚も皮下組織→真皮層→表皮層という具合に内側で生きていた細胞が表面に押し出されて角化されて剥がれ落ちています。
頭皮でも皮膚と同じターンオーバーが起きており、いわゆるフケというものが見えない形で毎日のシャンプーで剥がれ落ちています。

つまりフケは見えないけれど毎日のシャンプーで自然に剥がれ落ちているということです。
この頭皮のターンオーバーに異常が起きた時に目に見える形でのフケが出てきます。
正常なターンオーバーに戻すための対処が必要となります。
今日は頭皮や皮膚のケアの話はしませんが、またの機会に詳しくターンオーバーや抜け毛対策について話したいと思っています。
ということで髪の話に戻しますが、こうして生きた細胞が角化され死んだ細胞となってしまったものが髪の毛です。
一般的な日本人の髪は10万本程度の髪が生えているようです。
一方西洋人などの白人は20万本あると言われています。
日本人の髪は直径が太くて西洋人に比べて本数は少ないようです。
このように数十万本もある髪は長くても5年以内には全て生え変わります。
今現在皆さんの頭皮に生えている髪が全て生え変っていること自体すごく神秘的ですよね!?
今あるものに感謝して、髪型や髪色を楽しめることは決して当たり前のことではありません。
今の髪の毛が5年後には全て死んで抜け落ちて、新しい細胞が角化されて髪の毛として総入れ替えしていることになります。
髪は髪としての細胞の使命を果たしながら、皆さんの髪型を維持してくれています。
なんてありがたいことでしょう!!
そんな愛おしい髪の毛ですが、実は一本一本に毛流という生え方が決まっています。
これは遺伝的な要因がほとんどですので、生まれ落ちてこのかた毛流は一度も変わっていないと言えます。
頭皮に対しての角度と言ってもいいと思いますが、毛根の方向性は生まれた時から決まっているわけです。
ということは10万本の髪の毛一本一本が「こちらに行きたい!」という意志を持って生まれてきていることになります。
そこで私が旅先カットで多くの方々をカットする時に、最初お話しするのが毛流についてです。
髪型は通常はヘアスタイルブックやネット検索で探していると思いますが、ヘアスタイルよりも大切なのがお一人お一人に元から備わっている毛流です。
そういうお話をさせて頂いております。

毛流は初見で最も重要視するところで、どのような新規のお客様であっても毛流を把握することから始めます。
最近は東京の銀座の美容室に行っていたというお客様や、表参道の美容室に通っていたお客様が山中湖の別荘に来たついでにカットをしていくパターンが増えています。
そうした都会の美容室に通われているお客様であっても、毛流についてここまで詳しく話してもらったことがないという方が数多くいます。
それだけ軽視されがちな毛流ですが、実はヘアデザインを決める上でとても重要なことであると思っています。
なぜならヘアスタイルは美容室では美容師が仕上げますが、それ以降はお客様自身でシャンプーやドライもしくはブローということでセルフで仕上げるからです。
ご自身でヘアスタイルを仕上げる際に最も影響しているのが毛流です。
ご自身の毛流を把握しながら、毛流を生かすべき箇所と、毛流に逆らうように乾かしたほうが良い箇所を知ることで、ご自宅でのスタイリングがとっても楽になり、再現性の高いヘアスタイルを維持することが可能となります。
再現性の定義は、美容師が美容室で仕上げたヘアスタイルと、帰宅したお客様がご自身でシャンプー後に仕上げるスタイルとのギャップの高低のことを言います。

つまり再現性の高いスタイルとは、美容師の仕上げたスタイルをお客様もご自宅で簡単に再現できるヘアスタイルのことを意味しています。
逆に再現性の低いヘアスタイルとは、美容室を出たときには決まっていたのに、自分でスタイリングすると全然違うスタイルになってしまうことを意味しています。
おそらく全ての美容師が再現性を高めるために努力しアドバイスしているとは思いますが、せっかくいいヘアスタイルを旅先で購入して持ち帰ったとしても明日から再現性が低かったとしたらガッカリですよね!?
そんなことがないように最初に毛流を把握することから始めます。
そして私がお客様の頭皮をよく見て発見した毛流をその場でお客様にも伝えます。
頭頂部はこういう方向に髪が生えています。
前髪はこういう方向に髪が生えています。
サイド・襟足と順番に毛流を把握し、その上でヘアスタイルの話に入ります。
その上で髪の形の話に入ります。
長さについてや横顔のシルエットについてなどです。
もう一度毛流についてお話ししておきますが、毛流を無視して縛ったりすることで牽引性脱毛症が起きてしまいます。

こうした物理的に起こる脱毛症はこうした毛流を知って、髪の行きたい方向を尊重してあげることで解決できる後天的な脱毛対策です。
ヘアスタイルを決める際に毛流を知り、毛流を生かしながら適切な前髪の量を決めたり、トップの髪を作ったりすることで牽引性脱毛から遠ざかることができるようになります。

上図のように毛流に対して反対方向に髪を持っていき、さらに縛ることで牽引し、束ねた毛束の重量と下に引っ張られる重力によってテコの原理にように頭頂部や前髪付近の毛根に必要以上の負荷をかけてしまうヘアスタイルは若い人でも牽引性脱毛の促進となってしまいます。
昨日髪を切った東京の大学生もこうしたカウンセリングを通して前髪を増やし、トップの髪を作り、髪を縛った時に頭頂部の毛根に負荷がかからない髪型を提案しました。
大学生で20歳前後の若い世代であっても頭頂部に炎症が起こり、薄毛の前兆がありました。
早期発見して原因を取り払うことで改善が見込めるとアドバイスしました。
髪型は似合う似合わない以前に、髪として長年存在し続けるようにする最低限の知識が必要です。
髪そのものが無くなれば髪型どころの話ではなくなりますからね。

こうした髪を健全に育てていく知識と技術の次に顔の特徴・輪郭・骨格・体型・身長などを考慮して似合う髪型を探していくことが大事です。
結果的に髪を縛らないくらいまで大胆にカットしてイメージを劇的に変える場合も少なくはありません。
髪を切るには切るだけの理由があります。
もちろんイメージがあって単純に気分を変えたい場合もあります。
明日大事な商談があって、その前に気合を入れて髪型を変える場合もあります。
様々なシチュエーションもありますが、前述したような髪を健康的に育てるため、健全に育毛するためにイメージを変える場合もあるということです。
こうした説明をもし聞いたことがないなら、今すぐお電話を^^!(笑)
ということで今日は髪を切って生まれ変わる話でしたが、実は髪そのものも日々に生まれ変わり私たちの髪型を賢明に維持してくれているんだというお話でした。
ではまたいつかサロンでお会いできる日を楽しみにしています。