美容師さんからカット講習についての問い合わせが増えています。

こんにちは。
ヘアデザイナーの空(くう)です。
今日は山中湖畔は突風が強すぎます!
小さな竜巻が湖面で暴れています!(笑)
と言うことで本題です。
最近美容師さんからの問い合わせが増えており、「カットを勉強したい」と言うことらしいのです。
私は直接話していないので、受付から聞いた話ですがジュニアスタイリストやアシスタンの方が多いとか。
私も思うところあって、技術を継承したいと言うのはあります。
かと言って開業間もないので計画では6ヶ月間は夫婦2人と清掃員1人の3人でやって行こうと言うことになっておりますので、美容師を雇用する予定は今のところありません。
ボランティアで働くと言うのも少し考えさせてください。
忙しくなるようでしたら、御殿場か富士吉田かわかりませんが、2店舗目を出したいとも考えていますが、今はそういう状況ではありません。
無償で働くのでカットを勉強したいという情熱のある方もいるようなので、私としても無視するわけにも行かないし、どうすればそれが可能となるか考えています。
そこで月に一回程度のカット講習会を開こうと思っています。
但し、教える方法については独特の方法になります。
一般的なカット講習会はウィッグという人形を使用して講義を受けると思うのですが、私はウイッグでは教えません。
過去に数十名の美容師を雇い教育してきた結論として、ウイッグでどれだけカットがうまく切れても、お客様をうまく切れるわけでは無いと思うからです。
お客様を上手く切るという意味は、お客様の満足を提供できるとは限らないということです。
なので私は人頭モデルでしかカットを教えない主義にしています。
どうしてか?
それは私たち美容師は人の『心をカット』しているからなんです。
え?人の髪を切っているのでは無いですか?
なんて声が聞こえてきそうですが、あえて言います。
確かに人の髪を切ってその代償としてお金を頂くわけですが、その人が気に入らない場合はそのカットに価値があるでしょうか?
価格と価値は違います。

例えばみなさんが100均に行って何かものを購入したとします。
家に帰って使用したらすぐ壊れたとか・・・
使用してみたら思ったよりも機能性が劣っていた・・・
など100円という金額に対する効果や価値は?
この費用対効果に対するお客様の感覚こそが本当の価値であるのです。
つまり100円という金額が高いとか、安いとかいう判断は「価格」なんですが、価格に対して「価値」があるかどうかは購入したお客様の主観や周りの評判など客観で判断されるということです。
では髪型の話に戻します。

カットしたお客様が主観で気に入っていても、「その髪型変だよ・・・」と周りに方に言われたらどうでしょうか?
段々と「価値が下がってくる」ようなこともあるでしょう。
一人だけならまだしも、2人に言われたら?
逆もあります。
本人は切られすぎた・・・とか、何だか自分には似合っていない・・・
と考えていても、周りからの評判が良い場合は「価値が上がる」場合もあります。
このように「価格」<「価値」で価格よりも価値が大きい場合は「カットして良かった」「あの美容室に行って良かった」となります。
逆に「価格」>「価値」となる場合は、「損をした」「どこか満足できる他の美容室を探そうかな」などとなる場合もあります。
金額の問題よりも、価値の問題が最終的にお客様の「満足」と深く関係しています。
もちろん「価格」の問題もあります。
1000円カットであまり満足していないけれど、「安いから仕方ないかな・・・」になることも多いのでは無いでしょうか。
この場合は価値相応となりますので失客しない可能性が高くなります。
逆に10000万円のカットでも「あそこの美容室じゃないと私の髪はだめなの」「とても評判が良くて満足しているわ」と言う場合は価値相応で失客のリスクは低いかも知れません。
しかし10000万円のカットを東京までしに行っている方が、たまたま当店にカットに来て、4000円支払って今まで行っていたどのサロンよりも「満足」した場合は違ってきます。
安くて今までのサロンよりも価値があった場合は「感動」になります。

「価値相応」<「感動」となります。
つまり私たちは「お客様の心をカットして感動という代償が欲しいのです」
お客様の感動以上に価値あるものはありません。
その後でついて来るものが売上であるお金だと考えています。
そして感動したお客様はそう簡単には離れません。
私の美容室にも「今までは気に入った美容室が無くて1000円カットに行っていたのよ・・・」と言われることがあります。
当店のカットは4000円ですので、4倍の価格ですから、4倍の価値がないと割が合いませんよね?
どうしたら4倍の価値を提供できるのか?
そこを教えたいので、どうしても人頭モデルでないと教えられないのです。
ウイッグをどれだけうまく切っても、ウイッグは感情がありませんので、満足したかどうかわかりません。
人頭モデルなら感想を聞いてみたり、次も人頭モデルになってもらえるかをその時に予約を入れたりすることで満足感を推測することもできます。
「お金」を頂くということは「満足」を提供するということですので、どうしても「人の髪を切る」練習をすることが大事です。
そうして「お客様の心をカットする」ようになって頂きたいのです。
「ウイッグで基礎を学んでから人頭モデルで練習する」というのも理屈はわかりますが遠回りです。
早道は色々な髪質や髪型や毛流に対応して人頭モデルで練習し続けることです。
美容師が提供するものは「顧客満足」以外に価値は無いと考えていますので、「人の髪を切る」=『お客様の満足という心の価値』=『心を切る』という方程式が成り立ちます。
翻って皆さんならどういう美容師を選びますか?

ウイッグではいつもコンテストで優勝しているが大して指名が無い人。
コンテストではいつもビリだがサロンでの指名率が常にトップのリピート率ナンバーワンの人と。
どちらも魅力的ですが、私はサロンで指名率やリピート率の高い方にカットしてもらいたいと思います。
なぜか?
それは技術だけ上手い人よりも、人の心を掴むことが上手い人の方が学ぶことが多いと思うし、明日からのヒントになると思うからです。
その辺りも美容師さんの「価値観」によって技術派と顧客満足派に分かれるのかも知れませんね。
長々と書きましたが、カット講習は人頭モデルのみで行う予定です。
3月中に行う予定ですが、最初の予約者の希望日に合わせてその日を講習日とします。
受講条件
- 美容師免許を持っている方限定(免許を持参してください)コピー可。
- 料金は1回の講習代金が1万円(税込)です。
- モデルと同伴で当店に来店できる方限定です。
- 午前の部:午前9時〜12時までの3時間(美容師2名+モデル2名)
- 午後の部:午後13時〜16時までの3時間(美容師2名+モデル2名)
- 合計1日美容師4名+モデル4名までとします。
私が教える人数は少ないほど良いので一度に2名までとしました。
同伴者は男性でも女性でも年齢も問いませんが、ご自身の練習のためなのでご自身がカットしたいスタイルの人を選ぶことをお勧めします。
ちなみに私がスタイリストになるためのカットモデルは毎日渋谷の公園通りでモデルハントしていました。
名刺片手に毎日3時間〜4時間と人頭モデルを探す毎日が1年ほど続きました。
モデルが見つからないと練習できなかったので・・・
今後カット講習会が継続するようなら、こちらでカットモデルを募集しようかとも考えていますが、まだどうなるかわかりませんのでしばらくは受講者の自助努力に委ねます。
「ウイッグの方が楽」「ウイッグの方が良い」と言う方は残念ですが、他のカット講習を探した方が良いと思います。
「お客様を満足させたい」「カットで他店との差別化を図りたい」と言う方は当店のカット講習会をお勧めします。
私が東京やパリで学び、その後の美容人生をかけて習得したことを惜しみなく与え尽くす覚悟がありますので、ふるって美容師さんのご参加をお待ちしております。
最後に少し余談ですが、「固定客」という言葉の定義について考えてみます。
何度かリピートされたお客様を「固定客」と呼びますが、固定されたリピート客という存在は実際にはいないと思っています。
あくまでも私見ですので参考までに聞いておいて下さい。
「3回以上が固定客」「俺の客」「私の客」「うちの店の客」などと表現することも多かろうと思いますが、立ち止まって考えて頂きたいのです。
本当に「固定客」って存在するのだろうか?
そもそも人は自由意志を持っており、選択の自由が与えられています。
どこのお店に行くことも本当はお客様は常に自由なのです。
完全に守られている自由だからこそ「自由」と言えます。
そうであるならば「固定客」という存在はありでしょうか?
そうです、「固定客」という概念は間違っています。
たまたまお客様の自由意志で今回は当店を選んでいただけた・・・
たまたま前回が気に入ってリピートして頂けたんだ・・・
たまたま10年通って頂いているんだ・・・
毎回々来店して頂けている奇跡、毎回々自分を選んで頂けている奇跡に感謝しかありません。
いつもお客様は数多くの美容室の中から選択の自由によって選んでいます。
そう考えるからこそ、毎回々気を抜くわけには行きません。
「女心と秋の空」人の心は移ろうものですから、毎回新鮮な気持ちで今日のお客様はどんな気持ちで来店されたのか?
何か変化を求めているのか?
それとも安定を、求めているのか?
何か手入れしにくいことや、自分のアドバイスが行き届いていないところはないか?
お客様の動向を見守り観察し、常にアンテナを張り巡らして些細な言葉や仕草を見逃さないことが大事です。
お客様の自由意志を尊重しているが故に、同じお店の他の方を指名しても全く不思議なことではありませんし、むしろ自然なことなのです。
近所にできた新しい美容室に行かれる自由もありますし、遠い美容室にわざわざ行かれる自由も当然あります。
何を選ぼうが、誰を選ぼうがお客様は完全に自由なのです。
この全ての人間に与えられた最大の幸福である自由を尊重し、失客したり指名を乗り換えれられたりした時に、目を自分の方に向けて、謙虚に受け止め「私に魅力が足りなかったんだな、よし!もっと魅力的になるぞ!」
「私に技術力が足りなかったんだな・・よし今日からもっと研究して練習して向上するぞ!」
「私の接客に問題があったのかな?この際だからタバコもやめてみよう!」
などと自分を振り返り、改善する方は伸びていきます。

当然ですが、嫉妬したり、他人を恨んだり、やっかんだり、怒ったりしないことが大事です。
成功者を祝福する気持ちがやがて自分自身も成功者へと近づいていく早道となります。
成功者に嫉妬すると「自分自身の内部理想像が破壊」されます。
人には元々「心の中になりたい自己像」という理想像があります。
嫉妬している相手は実は自分自身の理想像であるのです。
例えば私は調理で一流の成功者には嫉妬しませんが、同じ美容師で大きな成功を収めているような方や、向かいにできた新しい美容室にお客様がたくさん入っていた場合に嫉妬の心が芽生えます。
そういう時はこう考えるようにしています。
「きっと向かいの美容師さんは、私の知らないところで努力して集客に成功したんだろう、私ももっと努力しよう!」
「きっと向かいの美容室は技術や接客や店のシステムが素晴らしくてお客様が満足しているから流行っているんだろう、うちももっと研究して頑張ろう!」
とその瞬間に「嫉妬」から『反省の種』→『自己研鑽の動機』→『自己変革の実行』に変換できるかどうかにかかっています。
悪いことが起きたら自分には何ができるのか?何が足りないのかを検証し、良きことがあったら多くの方々のお陰と考えことがとても重要なことです。
また自信を失うことが起きても、反省して自分を励まし、自分の未来の可能性を信じることも大事です。
人は失敗から多くを学び成長していくのです。
挑戦したから失敗もあるのです。
何度失敗したかを数え上げるよりも、何度挑戦したかを数えながら生きていきましょう。
自己卑下したり、嘆いたり、悲しんだり、自信喪失や自暴自棄にならぬようにしましょう。
他人が素晴らしい成果を上げているかと言って、自分自身の価値は1mmも下がっていないことを知ることが大事です。
常に誰かと自分を比較し、優劣を気にしているようでは、本当の不動の自分自身と出会えません。
本当の自分の価値は生まれた時から全く減っていませんし、それどころか成功や失敗という経験値を高めて、魂は成長を続けているのです。
なのでなるべく様々な出来事に心を乱さないで頂きたいと思います。
一喜一憂するのではなく、心を内側に向けましょう。
他人との比較を一度やめて、ありのままの自分自身を愛することから始めてみましょう。
明けない夜はありません。
夜明けを信じて共に頑張りましょう!

メンタルが技術を支えています。
メンタルが接客を支えています。
人はメンタルな生き物です。
心が人生を支えています。
心を強く持ち、自分を信じて他人の成功を願って下さい。
若い美容師の皆さんにはそういう生き方を選んで頂きたいと切に願っています。